電話勧誘でクーリングオフ期間が過ぎた
電話勧誘販売でクーリングオフ期間が過ぎてしまった場合
電話勧誘販売で買った商品などは、事業者から法定の契約書面を受け取った日から8日以内なら無条件でクーリングオフ(申込みの撤回、契約の解除)をすることができますが、過ぎてしまっても、解約できるケースがあります。
契約書の不備・契約書を受け取っていない
電話勧誘業者は、消費者と契約するさい、必ず法で定められた契約書面を交付しなければなりません。
ですので、厳密に言えば契約書面の不備や不交付は法定の契約書面ではありませんので、クーリングオフ期間は過ぎていないことになりますが、クーリングオフ期間相当の日数が経過している場合は、業者にそのことを主張しなければなりません。
契約書面の記載内容
1:販売価格(役務の対価)
2:代金の支払時期、方法
3:商品の引き渡し時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
4:クーリングオフ(申込みの撤回、契約の解除)に関する事項
5:事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
6:契約の締結を担当した者の氏名
7:契約の締結の年月日
8:商品名、商品の商標または製造業者名
9:商品の型式または種類(権利、役務の種類)
10:商品の数量
11:商品に隠れた瑕疵がある場合の業者の責任についての定めがあるときはその内容
12:契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
13:そのほか特約があるときは、その内容
11、12、13はあるときのみその内容を記載
消費者契約法による取消権と民法による救済
消費者と業者の間では情報量や交渉力に大きな差がありますので、以下のような不適切な勧誘により誤認・困惑して契約した場合は、クーリングオフ期間が過ぎてしまっても取り消すことができます。
また、消費者と事業者の契約であればクーリングオフの適用されない取引や商品についても適用されます。
不実告知・・・業者が重要事項について「事実と違う」ことをいった。
断定的判断・・業者が将来の見通しが不確実なのに、「断定的」なことをいった。
不利益事実の不告知・・消費者にとって不利になることを、業者が「故意に」いわなかった。
●民法
詐欺や脅迫により売買契約を結んでも取り消すことができます。(民法96条)
親権者の同意を得ずに未成年者がした契約は、取消すことができます。(民法4条)
未成年者とは「20才未満で婚姻していない者」で契約を取消すと、商品などを使用してもその状態で返品すればよく、全額返金されます。
未成年がした契約でも取消し出来ない場合
・お小遣いや仕送りなど親権者が処分を許した財産
・親権者に許可された営業に関する契約
・「成年である」や「親の同意を得ている」とウソをついて契約を締結して場合
・成人してから契約を追認した場合
●事実と違うことを告げられた・威迫された
業者が、事実と違うことを告げたり威迫したことにより、消費者が誤認・困惑してクーリングオフをしなかった場合には、クーリングオフ期間が経過しても、新たにクーリングオフができる旨を記載した書面を交付した日から新たなクーリングオフ期間(8日または20日)が経過するまで、クーリングオフできます。
例えば、クーリングオフをしようとしたところ、「この契約はクーリングオフはできません」と事実と違うことを言われたり、「買ってくれないと困る」と声を荒げられて怖くなって契約したなどによりクーリングオフをしなかった場合をいいます。
ただ、仮にそのような事実があったとしても、相手業者の対応は「そのような事実はない」と否定することが多いので、否定できないような証拠を備えておく必要があります。
●勧誘の際の禁止行為についての取消権
業者が契約の締結について勧誘をする際、以下の行為をしたことで、消費者が以下に記載した誤認をし、それによって契約の申込みまたはその承諾の意思表示をしたときは、その意思表示を取り消すことができます。
取消権は、消費者がみずからが誤認していたことに気付いたときから6ヶ月、契約を締結したときから5年経過した場合、時効によって消滅します。
また契約に係る意思表示が取り消された場合、その効果として民法の一般原則により両当事者はそれぞれ不当利得の返還義務を負うことになります。
業者が既に代金を受領している場合には、それを申込者等に返還しなければならないとともに、商品の引き渡し等が既にされていれば、申込者等はその商品等を事業者に返還する義務を負わなければなりません。
事例
事実と違うことを告げられた場合であって、その告げられた内容が事実であると誤認した場合
●事実に反して、使用する耐震補強金具が高性能なものであると告げる
●「うちは材料の質も、仕事の質も他の業者と違う」と告げる
●効能が実際には認められないのに、「食事制限をしなくても一月服用し続ければ5キロやせる」といい健康食品を販売するセールストーク
●「今だけ特別価格」といいながら実際は通常価格
●「よそでは高くつくが、うちなら低価格でできる」といいながら実際は価格差が存在しない
クーリングオフに関する事項
●クーリングオフ期間が8日間なのに4日間と告げる
●「この商品はクーリングオフはできません」
事情に関する事項
●国家資格になる予定もないのに「まもなく国家資格になる」と告げること
その他
●「今回選ばれた中であなただけがまだ申込みをしていない。早く申し込まないと他の人に迷惑がかかる」と告げること
故意に事実を告げられなかった場合であって、その事実が存在しないと誤認した場合
●行政書士受験用教材として自社編集の六法全書を販売するに際し、六法全書が最新の改正内容を反映していないにも関わらず故意にこれを告げない場合
取消権は、消費者がみずからが誤認していたことに気付いたときから6ヶ月、契約を締結したときから5年経過した場合、時効によって消滅します。
また契約に係る意思表示が取り消された場合、その効果として民法の一般原則により両当事者はそれぞれ不当利得の返還義務を負うことになります。
業者が既に代金を受領している場合には、それを申込者等に返還しなければならないとともに、商品の引き渡し等が既にされていれば、申込者等はその商品等を事業者に返還する義務を負わなければなりません。
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